稲村ヶ岳ナイトハイク

先週、友人からいきなりナイトハイクのお誘いをもらい、

訳も分からず行くことになりました。

登るのは大峰山稲村ヶ岳

初めての山ですね。

 

で、夜に登るのも初めてなら雪山を登るのも初めて。

ヘッドランプは持ってるとして、

チェーンスパイクやピッケルは友人に貸してもらうことに。

どれだけ寒いのか、他に何が要るのか、

全く要領を得なくて手探りのまま、

2時間半の仮眠の後、日付の変わった零時過ぎに友人の車で出発しました。

 

山深い道を進み、途中でシカを見かけたりして、

稲村ヶ岳の登山口である母公堂の駐車場に着いたのが2時過ぎ。

もちろん誰もいません。

暗闇の中、車のライトを頼りに準備を始めました。

ここには幸いにも明かりの点くきれいなトイレがありました。

 

 

今回は山頂までピストンで歩きます。

 

 

2:21

さあ、行きますか。

どうなることやら。

 

先頭を歩く友人が懐中電灯で先を照らしてくれます。

でも、それ以外何も見えへん。

たまに左右をヘッドランプで照らしても、

見えるのは杉の木だけ。

ま、明るくても景色に変わり映えはしないみたい。

 

30分ほど歩くと雪が出てきました。

 

聞こえるのは友人の付けてるクマ鈴の音と二人のバカ話だけ。

ま、これだけ大声でしゃべってたらクマも出ないでしょう。

 

3:12

法力峠を通過。

気温は恐らく氷点下なんやろうけど風も無いし、

暑くなってきたのでダウンを脱ぐことに。

 

3:39

友人が事あるごとに「パオンスギパオンスギ」って言うてたので、

何のことかと思ったら、一目見て分かりました。

パオーン杉なんやね。

なるほどこれは自然が造った奇跡ですな。

 

道中はずっと緩やかなんやけど、

この辺りから右が切れ落ちた細い道が何度か出てきます。

クサリやロープがあるとこはいいんやけど、

無いとこは雪で滑り落ちないよう、左体重で慎重に進みました。

ただね、雪が締まってるとこはいいとして、

ザラメ上の雪のところはズルズル滑っていきそうになってね。

まるで蟻地獄の砂のように滑りやすかったです。

 

 

4:20

そんなこんなで2時間登り続け、山上辻に到着。

 

稲村ヶ武山荘に着きました。

で、ここから山頂まで行く予定だったのですが、

この先はもっと危険なトラバースがあって、

さっきのザラメ雪のような場所が出てきたら、

もはやチェーンスパイクでは太刀打ちできないとの友人の判断で、

山頂行きを断念することにしました。

下山後、あちこちで情報を見てたら、

この日危険を押してこの先まで進んだ人はいなかったらしいとの事。

ま、判断は正しかったと思います。

 

で、友人がここで夜明けを見たいというので、

暗闇の中しばらく待機することに。

しかしね、この場所は風が抜けて寒いのなんの。

ダウンを着て、さらにカッパまで着込んだのに、

手先足先が冷えて冷えて。

小屋の陰で風をしのいだりして、1時間半ほど過ごしました。

ただ、夜空を見上げると満天の星空が広がってて。

しかもね、こんな寒空なのに広がってるのは夏の星座たち。

夏の大三角形はもちろん、

さそり座の全容をあれだけしっかり見たのは初めてかもでした。

いやあ、これが見れただけでも夜間登山した甲斐があったと思います。

 

 

寒い中待ってると、空が白々とし始め星空が徐々に消えていきました。

そして、待望のマジックアワー。

でも、少し樹々が邪魔でしたね。

やっぱり山頂から見たかったな。

 

明るくなって、小屋の全容も見えました。

さあ、そろそろ帰りますか。

6時前に出発しました。

 

こうやって明るくなってから改めて危険個所を下ると、

結構ヤバかったんやなと再確認できます。

 

雪よりもヤバかったのが凍った場所。

危うくツルっといきかけました。

 

7:48

帰りもバカ話に花を咲かせていたら、あっという間に母公堂に到着。

無事に帰り着くことができました。

小屋からここまでの間で出会った人が3名。

ことごとく、もう山頂から降りてきたんですかと尋ねられ、

雪の状態の悪さを説明して断念したことを伝えました。

さて、彼らは山頂まで行ったのでしょうか?

てことで、荷物を片付けて帰途に着きました。

 

 

そういや、補給食を用意してたのに全く手を付けてなくて。

さすがに腹ペコだということで、

途中にあった美芳野庵というこんにゃく屋さんで、

温かいこんにゃくをいただきました。

たった100円で結構大きく、何より美味しかった!

 

 

初めてのナイトハイクでしたが、

夜登ったという事よりも雪山アリやなあと。

少しずつ初めてみようかなと思ったりしたのでした。